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国師先生と志歩さん Kokushi & Asuka
8月『臓器にはお盆休みもないから適度に労って!』
こんにちは、志歩さん。もう前期の試験も終わったかな?
こんにちは、国師先生。はい、少し前に試験は終わってとりあえず一段落です。
8月はお盆休みもあるから多少のんびりできるかもね。開放的になりすぎてお酒とかで失敗しないように!
そうですね(笑)。私はあまりお酒強くないからそんなに沢山は飲みませんよ。外国の人は強い人が多いですよね。
お酒、つまりアルコールの分解には主に2種類の酵素が関わっていたよね。一つはアルコールからアルデヒドへ、もう一つはアルデヒドからカルボン酸へ。覚えているかな?
はい!アルコールを酸化するのがアルコール脱水素酵素 (alcohol dehydrogenage : ADH)で、アルデヒドを酸化するのがアルデヒド脱水素酵素 (aldehyde dehydrogenage: ALDH)ですね。
その通り!主にADHによって酸化されたエタノールはアセトアルデヒドになって、これが顔を赤く(顔面紅潮)させるだけでなく、悪酔いや頭痛・動悸などを引き起こしてしまう。この有害な作用を示すアセトアルデヒドはALDH(2型がメインとなり、1型は補助的な働きを示す)によって酢酸へと酸化され、最終的に水と二酸化炭素になって体内から排泄される。
それでは私も含めてお酒が弱い人はALDHの働きが弱いかそもそもALDHを持っていないということなのですね。
そうだね。このお酒の分解能力は遺伝によって決まっていて、日本人や中国人などのモンゴロイドに多い(日本人で約4割)。その一方で、ヨーロッパ系やアフリカ系ではお酒が弱い人はほとんど見られない。
結構日本人の中でお酒が弱い人は多いのですね。自分の適量を知ってほどほどにするのが一番!
お酒は度を越して飲むと急性アルコール中毒を引き起こすだけでなく、胃・心臓・肝臓・膵臓などに悪い影響を与えるし、がんのリスクも高めると言われている。人間には多少休みはあるけど臓器は休みなしで働いているからあまり無理をさせ続けるといけないね。
そういえばこの前、お父さんが健康診断で尿酸の値が高いって言われたみたいで、最近少しビールを控えています。
確かにビールには体内で尿酸へと代謝されるプリン体が比較的多く含まれていて、最近はプリン体を減らしたものも売られているけど、血中の尿酸濃度はアルコールの分解によっても上昇してしまうから、プリン体が少ないお酒でも油断しないよう要注意だね。ちなみにプリン体はほとんど全ての食べ物に含まれていて、特に多いのはレバーや魚介類かな。バランスの良い食事と適切な水分摂取、尿をアルカリ化させるような食べ物(海藻、緑黄色野菜、乳製品など)も治療に有効だよ。
そうでしたか、またお父さんにも教えてあげないと。尿酸の値が高いままだとどんな症状が出てくるのですか?
典型的な症状として足の親指、足首、膝などに尿酸結晶が析出することで激しい痛みが出てくる。これを痛風発作と呼んでいて、治療にはまず痛みの軽減のためにNSAIDs(ロキソプロフェン、ジクロフェナクなど)が使われることが多いよ。ちなみにこの段階で血中の尿酸濃度を下げすぎると発作がひどくなるから、尿酸値の改善は発作が治まってからになるね。尿酸の値が高い状態が続くと、さらに腎臓や尿路に尿酸塩の結晶ができて機能の低下や痛みが出てくるから、しっかりコントロールする必要があるんだ。
尿酸濃度を下げる薬はどのようなものがあるのですか?
大きな括りで一つは尿酸の生成を抑える薬、もう一つは尿酸の排泄を促す薬だね。生成を抑える薬は尿酸の生成に関わるキサンチンオキシダーゼを阻害して(プリン型:アロプリノール、非プリン型:トピロキソスタット・フェブキソスタット)、排泄を促す薬は腎尿細管において尿酸の再吸収を抑制する(プロベネシド、ドチヌラドなど)。昨年度の国試の問題(第109回-問164)でも高尿酸血症における薬について問われているから、しっかり復習しておこう。
国試の問題を見ていると、必須問題は対応できそうな問題もちらほらありますが、理論・実践問題で検査値や症状などと絡められると難しいなと感じます。
検査値に関しては種類がたくさんあるけど、少しずつ基準値を覚えていこう。とりあえず高尿酸血症の基準は7.0 mg/dLで、これより尿酸濃度が高くなると痛風発作が出やすいとされているよ。
やっぱり基準値は患者さんの状態を把握して、適切な治療を選択するために大切ですよね。一度お父さんの検査値も見せてもらって身近に感じられるようにしたいと思います!
活きた知識を身に付けるには自分で興味を持って勉強することが大事だと僕は考えているよ。問164の他の選択肢には、尿酸をアラントインと過酸化水素に分解する作用を有するラスブリカーゼも出ているね。ラスブリカーゼは、ただの高尿酸血症ではなくてがん化学療法に伴うものという条件付きであることを忘れずに。あと、先程触れたドチヌラドは2020年に薬価収載された薬で、尿酸トランスポーター(URAT1)を選択的に阻害するということで注目されているよ。
まだまだ知らないことも多いですが、薬剤師として働くためにもしっかり勉強しないといけませんね。
前期は就活や卒論の準備などで色々と大変だったと思うけど、一度夏休みでリフレッシュしてもらえたらと思うよ。暑さ寒さも彼岸までというけど体調崩さないようにね。
ありがとうございます!来月からもよろしくお願いします!
第109回-問164
高尿酸血症の治療に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
↓解答↓
解答:1、4
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