こんにちは、国師先生。じめじめして嫌な季節ですね。

志歩さん、こんにちは。そうだね、夏場にかけては気温・湿度共に高くなるから、食べ物の管理には気を配らないとね。

食べ物にはしっかりと火を通します！

確かに加熱殺菌は食品の腐敗を予防する有効な手段の一つだけど、他の方法も知っているかな？

加熱では温度を高くして細菌などの微生物を殺していますね。微生物にとって発育しにくい環境にすればいいなら、冷蔵とか乾燥ですか？

正解！他にも煙でいぶす「くん煙」や塩分・糖分の濃度を高くする方法もアリだよ。

食べ物によって適切な方法を選ぶ必要がありますね。ところで以前、「腐敗と発酵は本質的には同じ」と聞いたことがあるのですが、本当でしょうか？

それは本当だよ。人間にとって役に立つものを生成する場合を発酵（例：味噌、酒など）、食品の風味が落ちて食中毒を引き起こす場合を腐敗と呼んでいるけど、微生物は食品からエネルギーを取り出すために色々な分解反応を起こしているだけで、名前を付けたのは人間の勝手な都合だね。

なるほど、確かに微生物がわざわざ人間のためにって訳ではないですものね。そういえば薬理の分野で抗菌薬が色々出てきますが、種類が多くてなかなか覚えられないです。

抗菌薬は骨格と作用機序をしっかりリンクさせることが大切だよ。まずしっかり覚えてほしいのが、β-ラクタム系が細胞壁の合成を阻害して薬効を示すことだね。

ラクタムは環状のアミドのことだったと思うのですが、βというのは何を表していましたっけ？

環状構造をとるために最低限必要な原子の個数は3つだから、3員環の環状アミドをα-ラクタムと呼んでいて、β-ラクタムは炭素が1つ増えた4員環構造をとるよ。小さい環の構造は歪みが大きくて反応性が高かったね。

なるほど。他に細胞壁合成を阻害する抗菌薬はありますか？

詳しい作用機序は違うけど、細胞壁合成の阻害という大きな分類で見るとグリコペプチド系、ホスホマイシン系が挙げられるよ。グリコペプチド系は糖とペプチド構造を含んでいること、ホスホマイシン系はエポキシドを持つ比較的単純な化合物であることに着目してね。

細胞壁合成以外だとタンパク質合成阻害がありましたね。

特徴の掴みやすいものから順番に覚えていこう。大きな環状構造（臨床上用いられるのは14～16員環）を持つマクロライド系、4つの環が横並びになっているテトラサイクリン系、窒素原子と糖を含んでいるアミノグリコシド系が覚えやすいかな。タンパク質合成に関わるのは他にも多少あるけど、薬剤学などでも関わってくる薬も多いから優先的に確認しておいてね。

ありがとうございます。マクロライド系のCYP阻害や、テトラサイクリン系の金属イオンとのキレート形成などですね。

うんうん。最後に紹介するのは、核酸合成阻害（DNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣの阻害）を行うキノロン系だよ。キノリン構造にケトンが入った構造が特徴だね。

ある化合物について、色々な知識を連想ゲームのように繋げていくと忘れにくそうです。問題を解いていく中で、出てくる語句に興味を持って幅広く知識をカバーしていきたいです。

興味を持つことは勉強の内容を身に付けるための一番の方法だからね。国試は選択形式だから、確実な知識を少しでも多く持っていた方が消去法も使えるし、正解に近づける、つまり国試に合格できる可能性が高くなると言えるよ。今日話した内容で前回の国試109回の問20と問39を正解できるはずだから復習しておこう。

分かりました！夏に向けて体調崩さないように頑張っていきます！