国師先生と志歩さん Kokushi & Asuka

11月『冬に上げるのは成績だけに!』

こんにちは、志歩さん。国試勉強は順調かな?

こんにちは。この前模試の結果が返ってきたのですが、良くはなかったですね。

まあ秋の模試は国試本番の流れを一通り経験してもらうことが大事だから、結果は気にし過ぎないことだね。それよりも間違えた問題で「なぜ間違えたのか?」を分析する必要があるかな、まずは必須問題で出てきた知識を定着させよう。

何よりも基本が大事ですもんね。国試を突破して来年の春から薬剤師として働きたいです!

これから冬に向けてしっかり勉強して、希望通りの春を迎えられると良いね。

はい!ただ疾患や薬の種類が多くて、知識がまだ整理できていない部分が多いです。

まずは実習先でもよく目にしていたような疾患から勉強していくと、知識として入りやすいかなと思うよ。

高血圧症、糖尿病、高コレステロール血症などは実習先で薬を使っている患者様が多かったですね。高血圧症の患者様は、寒くなってくると血圧が上がりやすいと言っていました。

そうだね。気温が低くなると血管が収縮して、その分血液を送るためにより多くの力が必要になるから血圧が高くなるとされる。他にも冬の間には運動不足になりやすくて、鍋物などの塩分の多い食事を摂る機会が多いことなども血圧を高くしている要因だね。

なるほど。高血圧症と診断される血圧の値は、140 /90 mmHg以上でしたっけ?

その通り!一応、その基準は病院内で測った場合の基準で、家庭で測った場合だと、135 /85 mmHgと少し低めに設定されているよ。血圧が高い状態が続くと脳卒中(脳梗塞、脳出血)、心筋梗塞などといった致死的な疾患のリスクとなるから、血圧のコントロールは重要だね。

血圧コントロールが重要なのは分かるのですが、薬の種類が色々あって覚えるのが大変です・・・。

確かに種類は多いけど、まずは大まかな分類としてアドレナリン受容体に対する薬、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系に対する薬、Ca2+チャネルの遮断薬があることを理解しよう。

アドレナリン受容体に対しては、α1受容体遮断薬とβ受容体遮断薬などでしょうか?

語尾が「~ゾシン」のα1受容体遮断薬、プロプラノロールやビソプロロールなどのβ受容体遮断薬、カルベジロールやラベタロールなどのαβ受容体遮断薬が国試でもよく出てくるよ。出題頻度は低いけど、α2受容体刺激薬のクロニジンやメチルドパもあるから注意してね。

受容体に対してどのように働くのかは、まとめておかないといけませんね。レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系に対する薬にはどのような薬があるでしょうか?

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の流れを自分で図に描いて説明できると理解しやすいかな。まずは上流のレニンを阻害する薬がアリスキレン、アンジオテンシン変換酵素を阻害する薬がアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)で語尾は「~プリル」、アンジオテンシンⅡがAT1受容体に結合するのをブロックするのがアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)で語尾は「~サルタン」になるね。

図に薬の名前を書き込んでいくと、知識が整理されていきますね。Ca2+チャネル遮断薬の語尾は「~ジピン」でしたよね?

ちゃんと覚えているね。正確には降圧剤として用いられるCa2+チャネル遮断薬として、ジヒドロピリジン系とベンゾチアゼピン系があって、ベンゾチアゼピン系のものとしてはジルチアゼムがあるよ。

Ca2+チャネルにもサブタイプが複数あったので、復習しておこうと思います。教えていただいた薬に関して副作用や注意などはありますか?

代表的な副作用としてはα1受容体遮断薬の起立性低血圧やACEIの空咳など、禁忌に該当する項目としては、非選択的β受容体遮断薬については気管支喘息、アリスキレンについてはACEIまたはARBを服用中の糖尿病患者が挙げられるね。あと禁忌に該当してはいないけど、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の薬は複数種類使うと高カリウム血症になりやすいし、β受容体遮断薬は低血糖症状をマスクしてしまうから糖尿病患者には使いづらいと言える。

患者様の中には複数の疾患を治療されている方もいるので、注意しないといけませんね。

だから将来薬剤師として働いていて、患者様に新しく薬が追加された場合や医師に薬の追加を提案する場合は、特に細心の注意を払って処方を見てほしい。今勉強を頑張った分は成績に表れるだけでなくて、将来にも繋がってくるはず。

はい!自分に足りていない知識を補って、頼りになる薬剤師になれるよう頑張ります!

第109回-問160

高血圧症に用いられる薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  • 1. メチルドパは、延髄の血管運動中枢及び交感神経終末のアドレナリンα2受容体を遮断することで、交感神経活動を抑制する。
  • 2. ラベタロールは、アドレナリンα1受容体及びβ1受容体を遮断することで、血圧を低下させる。
  • 3. テルミサルタンは、傍糸球体細胞のアンジオテンシンⅡAT1受容体を遮断することで、レニン分泌を抑制する。
  • 4. リシノプリルは、アンジオテンシンⅡの生成を抑制し、副腎皮質からのアルドステロン分泌を低下させるため、低カリウム血症を引き起こしやすい。
  • 5. ジルチアゼムは、心臓の電位依存性L型Ca2+チャネルを遮断するため、房室ブロックを誘発しやすい。


↓解答↓











問160:2と5

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