国師先生と望実さん Kokushi & Nozomi

10月『食欲の秋も食べ過ぎにはご注意を!』

こんにちは、国師先生。今の時期は過ごしやすくて良いですね。

こんにちは。そうだね、読書の秋、スポーツの秋、そして食欲の秋とあるけど、望実さんは何の秋にするのかな?

私はもちろん国試勉強の秋!って言いたいところですが、おいしいものも多いので食欲の秋の方が強いですね(笑)。

まあ食べ過ぎで勉強に差し障りがなければ(笑)。

あ、実は恥ずかしながら少し前に食べ過ぎたのが原因なのか胃の辺りが痛くて、病院で診てもらったら胃潰瘍になりかけていると言われました。

それは大変だったね。胃潰瘍は胃の粘膜・内壁がただれて、みぞおち周辺の痛み、胸やけや吐き気などが現れる病気だよ。攻撃因子である胃酸+消化酵素(ペプシン)と、防御因子であるプロスタグランジン類+粘液のバランスが崩れてしまうことが症状の発現に関与しているようだね。

そうなんですね。食べ過ぎの他にはどんな原因があるのですか?

胃潰瘍の原因は色々あって複数の要因が絡んでくることが多いけど、最近ではHelicobacter pylori感染の影響が大きいと考えられていて、胃潰瘍の患者さんの7割程度はHelicobacter pyloriに感染していると言われている。あとはストレス、喫煙・飲酒といった生活習慣の他に、解熱鎮痛薬として使われるNSAIDsなどの薬剤も原因となりえるよ。国試勉強も大変だと思うけど、ストレスは溜めすぎずにうまく発散してね。

なるほど。自分の心掛けでどうにかできる原因は一つでも減らしておきたいですね。先生からは胃薬を出しておくよって言われたのですが、一般的にはどのような薬が使われるのでしょうか?

望実さんが出してもらった薬はH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)と呼ばれる薬で「~チジン」という名前がついているね。胃でプロトン(H+)を分泌する壁細胞のヒスタミンH2受容体に競合的に拮抗することで作用を示す薬だよ。

そういえばファモチジンなどは一般用医薬品としても販売されていますね。もしH2受容体拮抗薬であまり改善されないようならどのような薬が出されることが多いですか?

より強力に胃酸の分泌を抑える効果があるとされるのは、プロトンポンプインヒビター(proton pump inhibitor: PPI)で、「~プラゾール」という名前の薬は壁細胞のH+, K+-ATPase(プロトンポンプ)を不可逆的に阻害する薬だよ。比較的新しく開発されたボノプラザンはプロトンポンプを可逆的に阻害する薬(potassium-competitive acid blocker:P-CAB)で、「~プラゾール」系の薬よりもさらに効果が高いとされているよ。

え?可逆的なのに「~プラゾール」系よりも効果が高いって変な感じですね。

プロトンポンプはK+を取り込む代わりにH+を分泌するんだけど、このK+の取り込みを抑えるのがボノプラザンで、①酸性条件でも安定で効果持続が長い、②活性化が不要で効果発現が速い、③代謝酵素における遺伝子多型の影響を受けにくいなどの長所があるよ。ちなみに壁細胞の4分の1は毎日新しいものに入れ替わると言われているから、可逆阻害でも不可逆阻害でも効果に大きくは影響しないと考えられているね。

薬の効果を単純に覚えるだけでなくて、人体の仕組みも併せて勉強しておく必要がありますね。

そうだね。生体内分子や薬がどの受容体に働いてどのような効果を示すのかを把握しておくことも大事だよ。胃酸が出過ぎるのを抑える薬として、他にもピレンゼピンはムスカリンM1受容体を遮断することによって薬効を示すよ。慢性胃炎に移行して胸焼けなどの症状が続く場合、処方されることがある薬としてはドパミンD2受容体遮断薬であるイトプリドや、セロトニン5-HT4受容体刺激薬であるモサプリドなどが挙げられるね。

たくさん薬が出てきますね…。問題を解いてもすぐに忘れてしまいそうです。

薬の作用点・薬効などを整理するためには、臓器ごとに“薬が作用するポイント”“薬によって臓器に影響が出るメカニズム”を大きな紙に図で書いておくと覚えやすくなると思うよ。一度丁寧な図を作っておくと国試でも役に立つはず!

確かに文字だけを見ているよりも頭に入ってきそうです。実際に自分で書いたものならどこに何を書いていたか思い出しやすくなりますね。

昨年度の国試の問題がそのまま出ることはまずないけど、関連する知識は絶対に今年度の国試に対応する上で必要になってくるよ。今回取り上げた胃潰瘍に関連する項目である、「十二指腸潰瘍との相違点」、「攻撃因子抑制薬・防御因子抑制薬の作用機序」なども併せてしっかり復習しておこう。

分かりました!食べ過ぎには注意しつつ勉強頑張っていこうと思います!

第107回-問162
胃・十二指腸潰瘍治療薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。
2つ選べ。

(1)ファモチジンは、胃の壁細胞に存在するヒスタミンH2受容体を遮断することで、胃運動促進作用を示す。
(2)ボノプラザンは、K+と競合してH+, K+-ATPaseを可逆的に阻害することで、胃酸分泌抑制作用を示す。
(3)レバミピドは、ドパミンD2受容体を遮断することで、胃運動促進作用を示す。
(4) ミソプロストールは、プロスタノイドEP受容体を刺激することで、胃酸分泌抑制作用と胃粘液分泌促進作用を示す。
(5)ピレンゼピンは、ペプシンに結合することで、その活性を抑制する。

解答
問162→2と4

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